Introduction to Pali レッスン11のまとめ
形容詞
- 名詞と同様に語尾変化します。
- それが修飾する名詞に属する単語として、その三つの性別に従う。
- ほとんどの-a語基の形容詞は、-ā語基の女性形を作る。
- 形容詞は、修飾する名詞の格と数も一致する
- 二つかそれ以上の名詞に対して、形容詞が共通してかかる場合は、それらの和 と一致する(つまり複数形)か、一番近い単語と一致する。
- 修飾する語が集合的で単数の場合は、形容詞も単数形になる
- 性別がかちあう場合は、男性が女性より優先され、中性が、男性・女性よりも 優先される。
- 普通、形容詞は修飾する名詞の前に来る(属性名詞とは対称的:レッスン1を参照のこと)。
- 一つの名詞にいくつかの形容詞がかかる場合は、形容詞のうち一つだけが名詞の 前に来て、残りが名詞の後に来る(ことが多い)。
- 同じ名詞に関する指示代名詞は、全体の前に来る
- 形容詞が、あるいは複数の形容詞が名詞の後に来る場合、その名詞が「断定」されてい ることを意味する。(つまり、その名詞の属性が強調されている)
- 訳す場合は「…である誰/何かは…」とするべき
- もし「ネクサス」と「連結」という用語を用いるならば、形容詞+名詞の語順 は普通は連結を示し、名詞+形容詞(あるいはまた同じ格の別の名詞)の語順は ネクサスを示す。
- 文に動詞が全く無い時は、語順に拘らずネクサスであると理解する: ネクサス形 容詞を置くことは、第一にそれを強調することを示している。
- 過去分詞は形容詞として用いられるときは、特別な意味を持つときがある
- diṭṭha 「見える」
- 「実名詞」と「形容詞」との区別は絶対的なものではない。かなり多くの単語が両方の はたらきで使われる。
例)、kusalaṃ = 「善」、kusala = 「善い」「巧みな」、; sukhaṃ = 「楽」、sukha = 「楽な」;
同様に、普通は形容詞のkalyāṅaや他の単語は、抽象名詞としては中性として 現れる。
第三類動詞
- 第三類動詞の現在形の語幹は接尾辞yaがつく。
- 形式上は-ya語基の受身と似ている。
- 人称の変化は第一類動詞と同じ。
例) 語根man「考えること」(語幹: man + ya → maṅṅa)
単数 | 複数 | |
三人称 | maṅṅati | maṅṅanti |
二人称 | maṅṅasi | maṅṅatha |
一人称 | maṅṅāmi | maṅṅāma |
- ṭhānaṃを使う言い回しでは、vijjatiは出来事や推論の可能性を表現する:
- 命令形はこれらの語幹から、第一類動詞と全く同様に作られる
- u(p)-padから作られるアオリストに注意すること
- udapādi 「(それは)生じた」
- こういった動詞のアオリストを作るときは、現在形 の語幹が使われることがある: -pajjiなど。未来形は-pajjissatiなど。
- 受身形はたまたま能動形と一致する: そういった場合の意味は文脈から推察する
- lrukkhā chijjanti の意味は「木は切り倒される」でなくてはならない
- 第三類動詞の多くは自動詞。
- 単語が受身か単なる自動詞かを判断するのが難しい時がある。
- hāyati(レッスン9)の形を自動詞と見なす文法学者もいる。
-na語基の過去分詞
ある特定の動詞は、接尾辞naをつけて過去分詞形をつくる。しばしば最後の子音がnと同化 する。
chid | chinna | 切り取られた |
dā | dinna | 与えられた |
ā-pad | āpanna | 持っている、所有している |
u(d)-pad | uppana | 生起した、生じた |
upa-pad | upapanna | 輪廻した、再度生を受けた、具足した |
(p)paṭi-pad | paṭipanna | 従事した、従った、実践している |
sam-pad | sampanna | 恵まれた、持って |
bhid | bhinna | 分かれた、裂かれた |
ni-dīd | nisnna | 座った |
hā | hīna | 欠けた、劣った |
(d)disとgamのアオリスト
語根 (d)dis 「見ること」はā語基の語尾変化をし、語根の母音がaに変わる。
単数 | 複数 | |
三人称 | addasā | addasaṃsu |
二人称 | addasā | addastha |
一人称 | addasaṃ | addasāma |
- 二重の語尾変化をするアオリストをつくる動詞がある。
- addasā のāの語尾変化にs を加え、sのアオリストとしてとられる語尾変化もある
- gamのそういった形はいつも使われ、(d)disの一つの語尾変化と一緒に使われる。
単数 | 複数 | |
三人称 | agamāsi 「(彼は)行った」 | agamaṃsu (二重語尾変化) |
二人称 | agamā (二重の語尾変化無し) | (agamittha: 第一のアオリスト形) |
一人称 | agamāsiṃ | agamamhā |
- (d)disそのものの二重形 addasāsuṃはaddasaṃsuと並んで使われる。